仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
柴本はそんな一希の心情に気付かずに、ワイングラスを片手に窓の外に視線を向ける。
「いい眺めだな」
一希が予約したのは、ホテル高層階レストランの個室だった。広く取った窓からは美しい夜景が広がっている。
「ああ」
ちらりと一瞥して相槌を打つと、景色を堪能し終えたのか柴本が探るような視線を向けて来た。
「ところで千夜子は? あとから来るのか?」
さも当たり前のように問われ、一希は眉をひそめた。
「千夜子は呼んでない」
「どうしてだ? 千夜子は一希のパートナーだろ? こんな改まった席に抜きでいいのか?」
柴本のこういう大袈裟な物言いが今夜はやけに引っかかる。
「帰国したときに会いたいと言っただけだろう。今夜の話はプライベートだから千夜子に話す必要はない」
柴本は不満そうな表情になる。
「どうしてだ?」
一希は内心溜息を吐いた。この柴本は学生のときから千夜子を崇拝し、周囲にもそれを隠そうとしなかった。
千夜子に付いて歩いているところを何度も目にした覚えがある。
おそらく今夜、千夜子にも会えると思い期待していたのだろう。
柴本は不満そうだったが、一希は取り合わず本題を切り出した。
「いい眺めだな」
一希が予約したのは、ホテル高層階レストランの個室だった。広く取った窓からは美しい夜景が広がっている。
「ああ」
ちらりと一瞥して相槌を打つと、景色を堪能し終えたのか柴本が探るような視線を向けて来た。
「ところで千夜子は? あとから来るのか?」
さも当たり前のように問われ、一希は眉をひそめた。
「千夜子は呼んでない」
「どうしてだ? 千夜子は一希のパートナーだろ? こんな改まった席に抜きでいいのか?」
柴本のこういう大袈裟な物言いが今夜はやけに引っかかる。
「帰国したときに会いたいと言っただけだろう。今夜の話はプライベートだから千夜子に話す必要はない」
柴本は不満そうな表情になる。
「どうしてだ?」
一希は内心溜息を吐いた。この柴本は学生のときから千夜子を崇拝し、周囲にもそれを隠そうとしなかった。
千夜子に付いて歩いているところを何度も目にした覚えがある。
おそらく今夜、千夜子にも会えると思い期待していたのだろう。
柴本は不満そうだったが、一希は取り合わず本題を切り出した。