仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
「勘違いしているようだが俺と千夜子は昔も今も付き合っていない。俺にとって彼女は良い友人で仕事のパートナーだ。認識を改め二度と同じ過ちを犯さないでくれ」

本音を言えばもっと責め立てたかったが、自分の態度にも問題があったのは確かで、彼ばかりを責められないと気持ちを収めた。

しかし柴本の方は納得がいかないようで、不満そうに一希を睨む。

「お前、千夜子との関係を無かったことにする気か? 大学のときも千夜子を独占してただろう?」

「誤解されるような態度は有ったかもしれないが、誓って千夜子と特別な関係を持ったことはない。だから二度と今回のようなことはしないでくれ、妻には二度と近づくな、全て俺を通してくれ」

淡々としかしはっきり告げると、柴本は悔しそうに顔を歪めた。

「なんだよそれ……久我山の娘を庇う為なら千夜子はどうでもいいのか?」

「これからも千夜子を蔑ろにする気はない。だが妻も彼女とでは立場が違うだろう?」

なぜそんなことが分からないのだろうか。

「その前提がおかしい、同列に考えるのは当然だ。一希は無かったことにしてるが、千夜子と付き合ってたのは事実だからな」

「その思い込みは何とかならないのか?」

「思い込み? 千夜子本人が言ってたんだぜ?」

軽蔑するような柴本の言葉に、一希は目を見開いた。

「千夜子が? まさか……」

彼女がそんなことを言うはずがない。なぜなら真実一希と千夜子の間には男女の関係は全くないからだ。それは千夜子自身が誰よりもよく知っている。
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