仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
千夜子が予約したのはオフィス近くのイタリアンレストランだった。

カジュアルな雰囲気の店だがきちんとした個室で、話が漏れ聞こえる心配は無さそうだった。

オーダーを済ませ食事が運ばれてくると、千夜子が口を開いた。

「ねえ、改まって話ってなに?」

興味深々といった様子で一希を見つめている。

昔から感じていたが千夜子の眼差しは強く、見つめ合うと圧倒される。

そして彼女のペースに巻き込れることが多かった。しかし今日は曖昧に流される訳にはいかない。

「昨日、柴本と会った」

千夜子は驚いた様子もなく頷く。

「ええ帰国しているみたいね、私のところにも連絡が来たわ」

柴本はもう昨夜の話を伝えたのかと思ったが、どうやら千夜子が連絡を受けたのはそれよりも前で、何も知らない様子だった。

「柴本に聞いたが、俺と千夜子が付き合っていると噂になっていたようだ。千夜子の言動が元で広まったようだ」

一希のその言葉に、それまで上機嫌だった千夜子の表情が曇った。

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