仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
一希の冷たい視線は辛かったけれど、実家への支援を受ける為には結婚するしかなかった。
それに初恋の一希と再会した後に、他の人へ嫁ぐなんて出来なかった。
結婚して一緒に暮していく内に、彼の態度も少しは緩和されるかもしれない。そんな甘い考えもあった。
けれど結婚して一月経っても一希の心が開くことはなく、美琴との溝は開いていく一方。
「今日も帰って来ないんだ……まあ、分かっていたけど」
夜の十一時を超えた辺りで、美琴は溜息を吐いてテーブルに並べた食器を片付け始めた。
一希には食事の支度は不要と言われているけれど、美琴は毎日欠かさず二人分の夕食を用意していた。一度も食べて貰ったことはないが。
余った料理は次の日の美琴の朝兼昼食になっていた。
この一ヶ月一希に歩み寄ろうと努力をして来たが、実ることは無かった。
食事を作るのも無駄だし、話しかけても迷惑にされるだけ。
一希は美琴と距離を置きたがっている。
彼の言動でその気持ちは痛いほど分かったけれど、それでも美琴は食事の用意も、挨拶もやめなかった。
自分が諦めてしまったら、一希との距離は更に広がり取りかえしがつかなくなってしまう気がしたからだ。
それに初恋の一希と再会した後に、他の人へ嫁ぐなんて出来なかった。
結婚して一緒に暮していく内に、彼の態度も少しは緩和されるかもしれない。そんな甘い考えもあった。
けれど結婚して一月経っても一希の心が開くことはなく、美琴との溝は開いていく一方。
「今日も帰って来ないんだ……まあ、分かっていたけど」
夜の十一時を超えた辺りで、美琴は溜息を吐いてテーブルに並べた食器を片付け始めた。
一希には食事の支度は不要と言われているけれど、美琴は毎日欠かさず二人分の夕食を用意していた。一度も食べて貰ったことはないが。
余った料理は次の日の美琴の朝兼昼食になっていた。
この一ヶ月一希に歩み寄ろうと努力をして来たが、実ることは無かった。
食事を作るのも無駄だし、話しかけても迷惑にされるだけ。
一希は美琴と距離を置きたがっている。
彼の言動でその気持ちは痛いほど分かったけれど、それでも美琴は食事の用意も、挨拶もやめなかった。
自分が諦めてしまったら、一希との距離は更に広がり取りかえしがつかなくなってしまう気がしたからだ。