仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
千夜子とのすっきりしない話し合いの後は、通常通りの仕事をこなした。
ただ遅くまで残ることはせずに、午後七時を回ったところでオフィスを出て自宅に向かった。
柴本と話した内容を美琴にも伝えようと思ったのだ。
しかし家の中のどこにも美琴の姿はなく、一希はリビングで立ち尽くし眉をひそめた。
(外出しているのか?)
メッセージアプリを確認したが、美琴からの連絡はない。
こんなことは初めてだった。
美琴は一希を避けながらも、断りなく家を空けるという行動は取らなかった。
時計に目を遣ると、午後七時三十分。
実家に行ったのかもしれないと考えながら、書斎に入り溜まった手紙の確認や個人的なメールの返信をして過ごす。
どれくらいの時間が過ぎたのか、玄関が開く音が聞こえて来た。
鍵を開けて入ってくるのは美琴以外にいない。
出迎えようと椅子から立ち上がった一希は、
「今日はありがとう、慧のおかげで上手くいきそう」
シンとした家の中に響いた声を耳にして、ギクリと身体を強張らせた。
「弟達も慧にすっかり懐いてたね」
美琴は一希が帰宅していることに、気付いていないのだろう。
楽しそうに会話を続けている。
相手は葉月慧。先ほどから何度も美琴が親し気に呼び捨てているのだから間違いない。
(……実家に連れて行ったのか?)
なんの為に?……まさか葉月慧に経済支援を頼む気だろうか。
苛立ちがこみ上げ、何かを考えるよりも先に書斎の扉を乱暴に開いていた。
大きな音を立てて開いた扉に驚いたのか、玄関前でスマートフォンを片手に佇んでいた美琴の目が大きく開く。
ただ遅くまで残ることはせずに、午後七時を回ったところでオフィスを出て自宅に向かった。
柴本と話した内容を美琴にも伝えようと思ったのだ。
しかし家の中のどこにも美琴の姿はなく、一希はリビングで立ち尽くし眉をひそめた。
(外出しているのか?)
メッセージアプリを確認したが、美琴からの連絡はない。
こんなことは初めてだった。
美琴は一希を避けながらも、断りなく家を空けるという行動は取らなかった。
時計に目を遣ると、午後七時三十分。
実家に行ったのかもしれないと考えながら、書斎に入り溜まった手紙の確認や個人的なメールの返信をして過ごす。
どれくらいの時間が過ぎたのか、玄関が開く音が聞こえて来た。
鍵を開けて入ってくるのは美琴以外にいない。
出迎えようと椅子から立ち上がった一希は、
「今日はありがとう、慧のおかげで上手くいきそう」
シンとした家の中に響いた声を耳にして、ギクリと身体を強張らせた。
「弟達も慧にすっかり懐いてたね」
美琴は一希が帰宅していることに、気付いていないのだろう。
楽しそうに会話を続けている。
相手は葉月慧。先ほどから何度も美琴が親し気に呼び捨てているのだから間違いない。
(……実家に連れて行ったのか?)
なんの為に?……まさか葉月慧に経済支援を頼む気だろうか。
苛立ちがこみ上げ、何かを考えるよりも先に書斎の扉を乱暴に開いていた。
大きな音を立てて開いた扉に驚いたのか、玄関前でスマートフォンを片手に佇んでいた美琴の目が大きく開く。