仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
翌日から美琴は一希の食事を用意してくれるようになった。

一希用にわざわざ作ってくれているのか、バランスの良い食事が彩りよく盛り付けられている。

リビングのローテーブルに並んだそれらとても美味しそうだった。だが……。

「そっちで食べてもいいか?」

今日もダイニングテーブルに座る美琴に声をかける。

彼女はとても驚いた様子だったが、頷くと食事を一希が指定したダイニングテーブルに移してくれた。

「すまない」

「別に。どこで食べるかは一希の自由だもの」

素っ気ない声。

「……食事もありがとう」

「え?」

美琴は動揺したように瞳を揺らす。

その後、一希から視線を逸らし言う。

「私の今の立場は専業主婦で食事作りは仕事だもの。やって当然のことだから」

「そうか……」

何と答えるのが正解か分からずに、相槌を打つだけになってしまう。

美琴の作る食事は美味しいが、気まずい沈黙は居たたまれなかった。

「今日はなにをしていたんだ?」

会話のきっかけになればと深く考えないで言った台詞だった。

しかし美琴は警戒するように、姿勢を正した。

「ずっと家に居たわ。どこにも行ってないから」

それきり黙り込んでしまう。

おそらく彼女は責めれていると感じているのだろう。

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