仮面夫婦～御曹司は愛しい妻を溺愛したい～
翌朝。

いつもの習慣で朝の五時に目を覚ました美琴は、隣のベッドに一希がいることを確認すると、そっと音を立てないようにベッドルームを出た。

バスルームで身支度をすると、少し悩んでから簡単な朝食の支度を始める。

（多分、要らないって言われるけど）

思い出すと、昨夜の一希はとても疲れている様子だった。顔色も良くなかった。

（具合が悪いのかな）

それなら少しでも食べやすいものをと、お粥を用意した。

準備を終えて時計を見ると、ちょうど六時になるところだった。

美琴はベッドルームに続く扉を見つめて、首を傾げた。

普段ならもう一希は起きている頃なのに、今日に限っては全く物音がしないのだ。

（もしかして、休みなの？）

そうだとしたら、起こしては迷惑だろう。

（でも、休みじゃなくて寝坊だったら？）

しばし迷ったけれど、意を決してベッドルームの扉を開けた。

一希はベッドに横たわったまま、目が覚めていないようだった。

「一希」

緊張しながら呼びかけてみる……反応がない。

「一希、六時過ぎたけど、起きなくて大丈夫なの？」

もう一度声をかけると一希はうっすらと目を開け、それから美琴と目が合うと、驚いたように目を見開いた。
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