仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
「……あなたのお母さまの絢子さんと私は友人だったのよ。それは知っている?」

美琴は大きく目を見開いた。

「いいえ……知りませんでした」

(お祖父さんも何も言ってなかった)

「そう。私と絢子さん。それから観原千賀さんと三人でよく会っていたのよ」

「え……観原って……もしかして千夜子さんのお母さんですか?」

「そうよ」

「…………」

思ってもいないことだった。

(お母さんと観原千夜子の母親が友達?)

信じたくなかった。

言葉の出ない美琴の様子を伺うように、寛子が続ける。

「牧之原病院という名前は聞いたことがあるかしら?」

「牧之原病院?」

一希の持っていた封筒に記載してあった病院名だ。

「知っているようね。観原千賀さんが入院しているのよ」

(あの人のお母さんが……)

封筒には最高級の設備の病院のパンフレットが入っていた。

それから一希と千夜子が寄り添う写真。
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