仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
(ふたりは一緒にお見舞いに行ってたの? 写真はそのときのものなの?)
一希は千夜子の母親とも親しいのだろうか。
ふいに寝室でホテルの領収書を見つけたことを思い出した。
あれはどこのホテルだっただろうか。牧之原病院の近くのホテルだったらお見舞いの帰りに千夜子と一緒に泊まった可能性がある。
新たな情報に混乱しながらも考え込んでいると、寛子の深い溜息が聞こえて来た。
「どうやらあなたは何も知らないようね」
「え?」
「態度を見てたら分るわ。あなたは肝心なことは何一つ知らされていない。久我山さんも絢子さんも、あなたには話さなかったのね」
「あの、何のことですか? お祖父さんも神楽家の事情を知っているのですか?」
「ええ、絢子さんが話したのよ」
(お母さんが話した? つまり義母の友達だったお母さんが何らかの事情で神楽家の秘密を知り、それをお祖父さんに話したってこと?)
「……その秘密はどんなことなんですか? 一希さんに関係しているんですか?」
「勿論一希は関係しているわ。当事者だもの。でもあなたには話す必要はないわ。知らないならそれが一番なのよ。あなたは離婚してこの家を出て行き今後は関わらない、それでいいでしょう? 最近は葉月家の次男と親しくしているそうだし一希のことは忘れて彼と再婚してもいいんじゃないかしら。神楽家としては離婚後のあなたの邪魔をするつもりはないし自由にしていいのよ」
一希は千夜子の母親とも親しいのだろうか。
ふいに寝室でホテルの領収書を見つけたことを思い出した。
あれはどこのホテルだっただろうか。牧之原病院の近くのホテルだったらお見舞いの帰りに千夜子と一緒に泊まった可能性がある。
新たな情報に混乱しながらも考え込んでいると、寛子の深い溜息が聞こえて来た。
「どうやらあなたは何も知らないようね」
「え?」
「態度を見てたら分るわ。あなたは肝心なことは何一つ知らされていない。久我山さんも絢子さんも、あなたには話さなかったのね」
「あの、何のことですか? お祖父さんも神楽家の事情を知っているのですか?」
「ええ、絢子さんが話したのよ」
(お母さんが話した? つまり義母の友達だったお母さんが何らかの事情で神楽家の秘密を知り、それをお祖父さんに話したってこと?)
「……その秘密はどんなことなんですか? 一希さんに関係しているんですか?」
「勿論一希は関係しているわ。当事者だもの。でもあなたには話す必要はないわ。知らないならそれが一番なのよ。あなたは離婚してこの家を出て行き今後は関わらない、それでいいでしょう? 最近は葉月家の次男と親しくしているそうだし一希のことは忘れて彼と再婚してもいいんじゃないかしら。神楽家としては離婚後のあなたの邪魔をするつもりはないし自由にしていいのよ」