仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
「ごめんね感情的になって。今日会いに来たのは一希と話したかったからなのに」
「話?」
「正確には聞きたいこと。いろいろあり過ぎて私は混乱したままだし、こんな気持ちのまま離婚したくないから」
心のまま言うと一希は小さく頷いた。
それは質問して良いという合図と捉え、美琴は続きを口にする。
「私の実家に援助してくれていたことを聞いたの。何も知らなかったから驚いた。どうして黙って助けてくれたの?」
「鈴本恵美子と何度か話した。彼女は執拗でいつまでも無心を行うと思った。美琴が行政の支援などを調べているのは知っていたが、そのやり方は彼女に対し有効ではないと思った」
「お祖父さんも同じようなこと言ってた。恵美子さんは更生しないしこれからも誰かを頼るだろうって。でも一希は無視出来たんじゃないの? そう出来ない何かが恵美子さんとの間に起きていたの?」
一希は今度は少しの間を置いてから答えた。
「俺が無視をしたら再び美琴がターゲットになる。美琴は兄弟を心配しているから無視できないだろう?」
「……え? それが理由?」
一希は頷く。
思いがけない返事に、思わず目を瞠る。
(私の為だけに? そんな、どうして……)
美琴は一希にとって大切な相手ではない。
本人の口からもそう聞いている。
けれど一希は、まるで妻を守るような行動をしている。
「話?」
「正確には聞きたいこと。いろいろあり過ぎて私は混乱したままだし、こんな気持ちのまま離婚したくないから」
心のまま言うと一希は小さく頷いた。
それは質問して良いという合図と捉え、美琴は続きを口にする。
「私の実家に援助してくれていたことを聞いたの。何も知らなかったから驚いた。どうして黙って助けてくれたの?」
「鈴本恵美子と何度か話した。彼女は執拗でいつまでも無心を行うと思った。美琴が行政の支援などを調べているのは知っていたが、そのやり方は彼女に対し有効ではないと思った」
「お祖父さんも同じようなこと言ってた。恵美子さんは更生しないしこれからも誰かを頼るだろうって。でも一希は無視出来たんじゃないの? そう出来ない何かが恵美子さんとの間に起きていたの?」
一希は今度は少しの間を置いてから答えた。
「俺が無視をしたら再び美琴がターゲットになる。美琴は兄弟を心配しているから無視できないだろう?」
「……え? それが理由?」
一希は頷く。
思いがけない返事に、思わず目を瞠る。
(私の為だけに? そんな、どうして……)
美琴は一希にとって大切な相手ではない。
本人の口からもそう聞いている。
けれど一希は、まるで妻を守るような行動をしている。