仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
「俺に真実をつげたのは、将来千夜子に神楽家を継がせる為だ。俺には権利が無いのだと
、偽物なのだと理解させるために打ち明けた。神楽の母は子供を取り換えた後も実の子である千夜子を忘れなかったから自分の地位が安泰になるにつれ、その全てを千夜子に受け継ぎたくなったのだろう」
「そんなの勝手すぎるわ、許せない!」
「勝手でも事実だ。俺も聞いた時はショックだったが、段々と自分の立場を理解するようになった。全てをいつか千夜子に渡す迄、神楽での立場も千夜子も守るのが俺の役目だと」
そういう一希の表情はとても寂しそうで、美琴の胸が痛くなる。
「そんなの変よ。一希が一生懸命勉強しても働いても何も手に入らないなんて。いつか人に渡すために守るなんて……どうしてそんな話に従うの? 一希はもっと自分の権利を主張してもいいんじゃないの?」
そんな生き方では、一希自身の楽しみが何もない。
将来の夢など持てなかったのではないだろうか。
「あがいてもどうすることも出来ない状況だった。観原の母が入れ替えを受け入れたのは友情からだけじゃない。多額の経済的支援を受ける為だった。観原医院は深刻な経営危機で神楽からの援助で窮地を脱したんだ。観原の母はその後身体を壊し入院している。この近くの牧之原病院というところに長く居て。もう退院できる見込みはない。そんな人に罪を問えない」
「牧野原病院……」
いつか一希が持っていた封筒に記載のあった病院だ。
「入院しているのが観原のお母さんだから、あの人と一緒にお見舞いに来ていたのね?」
「ああ。神楽の母は千夜子にしか関心がなかったが、観原の母は育ての娘の千夜子のことも大切にしていた。だからふたりで尋ねるととても喜んだんだ」
「いつか見た写真は、観原のお母さんにあげるため?」
「ああ」
(そうだったんだ……)
長い間燻っていた疑問が、段々ととけて行く。
それは予想もしていなかったことで、怒りやくやしさ、悲しさが渦巻く。
、偽物なのだと理解させるために打ち明けた。神楽の母は子供を取り換えた後も実の子である千夜子を忘れなかったから自分の地位が安泰になるにつれ、その全てを千夜子に受け継ぎたくなったのだろう」
「そんなの勝手すぎるわ、許せない!」
「勝手でも事実だ。俺も聞いた時はショックだったが、段々と自分の立場を理解するようになった。全てをいつか千夜子に渡す迄、神楽での立場も千夜子も守るのが俺の役目だと」
そういう一希の表情はとても寂しそうで、美琴の胸が痛くなる。
「そんなの変よ。一希が一生懸命勉強しても働いても何も手に入らないなんて。いつか人に渡すために守るなんて……どうしてそんな話に従うの? 一希はもっと自分の権利を主張してもいいんじゃないの?」
そんな生き方では、一希自身の楽しみが何もない。
将来の夢など持てなかったのではないだろうか。
「あがいてもどうすることも出来ない状況だった。観原の母が入れ替えを受け入れたのは友情からだけじゃない。多額の経済的支援を受ける為だった。観原医院は深刻な経営危機で神楽からの援助で窮地を脱したんだ。観原の母はその後身体を壊し入院している。この近くの牧之原病院というところに長く居て。もう退院できる見込みはない。そんな人に罪を問えない」
「牧野原病院……」
いつか一希が持っていた封筒に記載のあった病院だ。
「入院しているのが観原のお母さんだから、あの人と一緒にお見舞いに来ていたのね?」
「ああ。神楽の母は千夜子にしか関心がなかったが、観原の母は育ての娘の千夜子のことも大切にしていた。だからふたりで尋ねるととても喜んだんだ」
「いつか見た写真は、観原のお母さんにあげるため?」
「ああ」
(そうだったんだ……)
長い間燻っていた疑問が、段々ととけて行く。
それは予想もしていなかったことで、怒りやくやしさ、悲しさが渦巻く。