仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
普通と違うところがあるとすれば、今時珍しい七人兄弟ということ。
しかも結構複雑な関係で、長女の美琴だけが前妻の一人娘で、下の兄弟六人は皆後妻の子だ。

父親が再婚したのが十年前、美琴が十四歳の頃だった。

しばらくすると弟が生まれ、その翌年と翌翌年にはその下の弟たちが生まれた。

そして更に三年後に、義母は再び子供を産んだ。
希望通りのに女の子で、父も義母も喜んでいたけれど、驚くことに三つ子だった。想定外の大家族となったのだ。

美琴は義母を手伝い、幼い弟と三つ子の妹の世話に明け暮れた。

大変だったけれど、血の繋がった弟妹たちはとても可愛くて、苦労だとは思わなかった。
ささやかだけれど、 幸せな日々。

けれど、そんな暮らしは、美琴の二十歳の誕生日に突然終わった。

父親が急な病気で倒れたのだ。

それまでは慎ましくも不自由なく暮らしていた家族の生活が一気に困窮するようになり、美琴と義母が必死に働いたものの、ふたりの収入ではどうにもならなくなった。

途方に暮れていたとき、疎遠にしていた祖父から連絡が入った。
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