仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
実母方の祖父とは、それまでほとんど交流が無かった。
最後に会ったのは実母の葬儀の日だ。
実母の生家は旧華族で、資産は多くないけれど、格式は高い家だそうだ。
そのためか、祖父は両親の結婚に最後まで反対していたらしく、母は勘当された形で父のもとに身を寄せた。
そんな関係の祖父が突然訪ねてきのが不思議だったけれど、要件を聞いて言葉も出ないほど唖然とした。
「私の決めた相手と結婚するなら、家族は助けてやろう」
それは足元を見た交換条件だった。
後継者の居ない祖父、久我山俊三は唯一の肉親である美琴の産む子供を後継者としたいと望んだのだ。
幼い弟妹たちに経済支援をするのを引き換えに。
はじめはそんな条件、誰がのむかと突っぱねた。
しかし、三ヶ月も経つと家計の状況は更に厳しくなり、現実を思い知った。
ーーこのままじゃ、家も失い、家族みんなが駄目になってしまう。
父親が元気な頃は、お金が無くても家族が仲良く暮らせるだけで幸せだと思っていた。
けれどそれは間違っていた。
最低限の生活を送れているからこそ、感じられた幸せだった。
さんざん悩んだ上に覚悟を決め、祖父に援助と引き換えに結婚すると告げた。
本音を言えば嫌だったけれど、自分で決めた道なのだから、どんな相手でも受け入れようと決心した。
それから直ぐに相手との顔合わせが行われ、そこに現れたのが初恋相手の神楽一希だったのだ。
最後に会ったのは実母の葬儀の日だ。
実母の生家は旧華族で、資産は多くないけれど、格式は高い家だそうだ。
そのためか、祖父は両親の結婚に最後まで反対していたらしく、母は勘当された形で父のもとに身を寄せた。
そんな関係の祖父が突然訪ねてきのが不思議だったけれど、要件を聞いて言葉も出ないほど唖然とした。
「私の決めた相手と結婚するなら、家族は助けてやろう」
それは足元を見た交換条件だった。
後継者の居ない祖父、久我山俊三は唯一の肉親である美琴の産む子供を後継者としたいと望んだのだ。
幼い弟妹たちに経済支援をするのを引き換えに。
はじめはそんな条件、誰がのむかと突っぱねた。
しかし、三ヶ月も経つと家計の状況は更に厳しくなり、現実を思い知った。
ーーこのままじゃ、家も失い、家族みんなが駄目になってしまう。
父親が元気な頃は、お金が無くても家族が仲良く暮らせるだけで幸せだと思っていた。
けれどそれは間違っていた。
最低限の生活を送れているからこそ、感じられた幸せだった。
さんざん悩んだ上に覚悟を決め、祖父に援助と引き換えに結婚すると告げた。
本音を言えば嫌だったけれど、自分で決めた道なのだから、どんな相手でも受け入れようと決心した。
それから直ぐに相手との顔合わせが行われ、そこに現れたのが初恋相手の神楽一希だったのだ。