仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
「……その話、詳しく教えて?」
「詳しく語れる程の情報があるわけでもないけど、客観的に見て神楽家が久我山家と姻戚関係になっでもメリットがない」
「メリットがない?」
「こういう言い方をしたら悪いけど、もし神楽家が旧華族の血筋の女性を妻に迎えたいなら、美琴よりもっと条件の良い相手と結婚出来たはずだ。資産の面では言うまでもないよな? 」
慧の言葉に美琴は黙り込んだ。
その通りだと納得したのだ。
戦後事業を広げ今の財産と地位を得た神楽家は、旧華族の血筋ではない。
だけど、由緒正しい血筋を求めているなら美琴である必要は全くない。
久我山家より、格式が上の家は、いくつもあるのだから。
「……祖父が神楽家と昔からの付き合いがあるみたいだから、それで話が纏まったのかも」
「それは理由として弱くないか? だから俺は政略結婚したと聞いた時、神楽さんが美琴を見初めたのかと思ったんだ。神楽家の権力を使って強引に結婚にこぎ着けたんだろうって。でも、さっきのあの人の目は大切にしている妻に向けるものじゃ無かった」
慧が深刻な表情になる。
「あの人は美琴を警戒しているように見えた」
美琴は小さく息を呑む。
(事情を知らない慧が気付くほど一希は……)
諦めていたはずなのに、胸に痛みが広がっていく。
「詳しく語れる程の情報があるわけでもないけど、客観的に見て神楽家が久我山家と姻戚関係になっでもメリットがない」
「メリットがない?」
「こういう言い方をしたら悪いけど、もし神楽家が旧華族の血筋の女性を妻に迎えたいなら、美琴よりもっと条件の良い相手と結婚出来たはずだ。資産の面では言うまでもないよな? 」
慧の言葉に美琴は黙り込んだ。
その通りだと納得したのだ。
戦後事業を広げ今の財産と地位を得た神楽家は、旧華族の血筋ではない。
だけど、由緒正しい血筋を求めているなら美琴である必要は全くない。
久我山家より、格式が上の家は、いくつもあるのだから。
「……祖父が神楽家と昔からの付き合いがあるみたいだから、それで話が纏まったのかも」
「それは理由として弱くないか? だから俺は政略結婚したと聞いた時、神楽さんが美琴を見初めたのかと思ったんだ。神楽家の権力を使って強引に結婚にこぎ着けたんだろうって。でも、さっきのあの人の目は大切にしている妻に向けるものじゃ無かった」
慧が深刻な表情になる。
「あの人は美琴を警戒しているように見えた」
美琴は小さく息を呑む。
(事情を知らない慧が気付くほど一希は……)
諦めていたはずなのに、胸に痛みが広がっていく。