仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
「え? どう言う意味?」
「俺の言いたいこと分かってるだろ? あの人の態度だよ。美琴を完全に無視していた。あり得ないよな、上司の妻に対する態度じゃない」
慧は焦ったそうに、まくし立てる。
「……実は以前に揉めたことが有って、私はあの人と関わらないって宣言してるの。それでじゃないかな」
「揉めた?……まあ、いつもあんな感じなら美琴が切れるのも分かるな」
「慧には愛想良かったじゃない。彼女のことどう思った?」
「どうって、常識無いなと思ったしムカついた。美琴を無視して立場を弁えてなかったし。第二秘書って聞いて嫌な予感はしたんだ」
そう言えば、千夜子の話をしたとき、慧は【第二秘書】という肩書きに反応していたなと思いだす。
「嫌な予感ってどうして?」
「第二ってことは、第一秘書が居る。たいてい第一秘書は人事が選ぶ。対外的にも正式な社長秘書は第一の方だ。第二の方は神楽さん自身の指名なんじゃないか? 日本有数の優良企業から引き抜いてまで私的な第二秘書にするって、その理由を深読みしたくもなるだろ?」
その理由は分かっている。
(一希は観原千夜子をひと時も離したく無かったから)
慧には惨めすぎて言えない。
でも、彼はもう気付いているのではないか。なんとなくそう思う。
「俺の言いたいこと分かってるだろ? あの人の態度だよ。美琴を完全に無視していた。あり得ないよな、上司の妻に対する態度じゃない」
慧は焦ったそうに、まくし立てる。
「……実は以前に揉めたことが有って、私はあの人と関わらないって宣言してるの。それでじゃないかな」
「揉めた?……まあ、いつもあんな感じなら美琴が切れるのも分かるな」
「慧には愛想良かったじゃない。彼女のことどう思った?」
「どうって、常識無いなと思ったしムカついた。美琴を無視して立場を弁えてなかったし。第二秘書って聞いて嫌な予感はしたんだ」
そう言えば、千夜子の話をしたとき、慧は【第二秘書】という肩書きに反応していたなと思いだす。
「嫌な予感ってどうして?」
「第二ってことは、第一秘書が居る。たいてい第一秘書は人事が選ぶ。対外的にも正式な社長秘書は第一の方だ。第二の方は神楽さん自身の指名なんじゃないか? 日本有数の優良企業から引き抜いてまで私的な第二秘書にするって、その理由を深読みしたくもなるだろ?」
その理由は分かっている。
(一希は観原千夜子をひと時も離したく無かったから)
慧には惨めすぎて言えない。
でも、彼はもう気付いているのではないか。なんとなくそう思う。