仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
一希はなぜ美琴との結婚を受けたのだろう。
義父の命令だったとしても、一希が本気で嫌だと意思表示すれば避けられたはずだ。
(でも、一希はお祖父さんに弱い……)
家の力関係で不利な訳ではないのに、久我山の祖父にはかなり気を遣っているのは明らか。
千夜子を義父に、恋人として紹介していない様子なのも気になる。
慧の情報では、千夜子の実家は開業医。会社の利益にはならなくとも、一希の妻として相応しくないとは誰も言わないはず。それなのに。
(一希はどうして、観原千夜子と結婚しなかったんだろう。この先私とどうするつもりなんだろう)
美琴を嫌いながらも、離婚を言い出す気配はない。
離婚の条件に子供を作ることが有るから決断出来ないのかもしれないが、千夜子も二十八歳になる。
一希も千夜子も、この状況を長引かせることを望んでいるとは思えない。
(なにかの機会をうかがっているの?)
ある日突然、「離婚するから出て行け」とでも言われるのだろうか。
今頃になって気がついた。
一希がもし、円満離婚を望んでなかったら?
話し合いではなく、強引に追い出そうとして来たら……一希なら、久我山家を出し抜いて美琴を悪者にして有利に離婚するように仕向けることも可能な気がする。
(ただ待っているだけじゃだめだ)
離婚するときは、実家への援助の約束を何としても取り付ける。
継母にも弟妹たちも、それが頼りの生活なのだから、絶対に失えない。
その為には一希と千夜子に、弱みを握られては駄目だ。
(必ず有利な条件で離婚しないと。こちらが一希たちの事情を把握しておかないと)
まず、この結婚に至った経緯について、確認しよう。
一希に聞いても素直に答えるとは思えないが、同じ家に住んでるのだから、調べようもあるはずだ。
決意を固めていると、そろそろ一希が迎えに来る時間になった。
慧とは連絡先の交換をした。
「困ったら連絡して来いよ。困ってないときでもいいけど。時間も気にしなくていいからな」
心強い味方が出来た気がした。
慧のアドレスを入ったスマホを、美琴は大切に抱きしめた。
義父の命令だったとしても、一希が本気で嫌だと意思表示すれば避けられたはずだ。
(でも、一希はお祖父さんに弱い……)
家の力関係で不利な訳ではないのに、久我山の祖父にはかなり気を遣っているのは明らか。
千夜子を義父に、恋人として紹介していない様子なのも気になる。
慧の情報では、千夜子の実家は開業医。会社の利益にはならなくとも、一希の妻として相応しくないとは誰も言わないはず。それなのに。
(一希はどうして、観原千夜子と結婚しなかったんだろう。この先私とどうするつもりなんだろう)
美琴を嫌いながらも、離婚を言い出す気配はない。
離婚の条件に子供を作ることが有るから決断出来ないのかもしれないが、千夜子も二十八歳になる。
一希も千夜子も、この状況を長引かせることを望んでいるとは思えない。
(なにかの機会をうかがっているの?)
ある日突然、「離婚するから出て行け」とでも言われるのだろうか。
今頃になって気がついた。
一希がもし、円満離婚を望んでなかったら?
話し合いではなく、強引に追い出そうとして来たら……一希なら、久我山家を出し抜いて美琴を悪者にして有利に離婚するように仕向けることも可能な気がする。
(ただ待っているだけじゃだめだ)
離婚するときは、実家への援助の約束を何としても取り付ける。
継母にも弟妹たちも、それが頼りの生活なのだから、絶対に失えない。
その為には一希と千夜子に、弱みを握られては駄目だ。
(必ず有利な条件で離婚しないと。こちらが一希たちの事情を把握しておかないと)
まず、この結婚に至った経緯について、確認しよう。
一希に聞いても素直に答えるとは思えないが、同じ家に住んでるのだから、調べようもあるはずだ。
決意を固めていると、そろそろ一希が迎えに来る時間になった。
慧とは連絡先の交換をした。
「困ったら連絡して来いよ。困ってないときでもいいけど。時間も気にしなくていいからな」
心強い味方が出来た気がした。
慧のアドレスを入ったスマホを、美琴は大切に抱きしめた。