仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
「そう……どうしても認めないのね。だったら彼女が一希のベッドに寝ていたのはどう説明するの?」
「……それはいつの話だ?」
「忘れたの? 私が実家に通っていた頃。あなたが私に彼女に目障りだと言ったと怒った日よ」
一希は記憶を探っているのか、眉間にシワを寄せる。
しばらくすると、強気な表情で美琴を見た。
「あの日は視察で名古屋に居た。朝出たきり家には立ち寄っていない」
「そんなの信じられる訳ないでしょ? 私と彼女が言い争いをして一希が怒った事実があるのよ? 家で鉢合わせた証じゃない」
こんな穴だらけの、直ぐに論破される言い訳をするような人だったのかと、失望が深くなる。
「あれは美琴が家から出て来たからだろう?」
一希は悪びれずに言う。その言葉に美琴は表情を険しくした。
「私が家から出た?」
「そうだ。あの日、俺は第一秘書を連れて視察に出ていた。千夜子はオフィスで別の仕事をしていたが、どうしても必要なものがあり、家に取りに行く様頼んだんだ。離れではなく母屋への用だったしお前は不在だから問題ないと思った。だがお前が予定より早く帰って来て千夜子を責め立てたんだろう?」
「……観原千夜子がそう言ったの?」
低い声が出た。一希が不快そうな顔で頷く。
「……それはいつの話だ?」
「忘れたの? 私が実家に通っていた頃。あなたが私に彼女に目障りだと言ったと怒った日よ」
一希は記憶を探っているのか、眉間にシワを寄せる。
しばらくすると、強気な表情で美琴を見た。
「あの日は視察で名古屋に居た。朝出たきり家には立ち寄っていない」
「そんなの信じられる訳ないでしょ? 私と彼女が言い争いをして一希が怒った事実があるのよ? 家で鉢合わせた証じゃない」
こんな穴だらけの、直ぐに論破される言い訳をするような人だったのかと、失望が深くなる。
「あれは美琴が家から出て来たからだろう?」
一希は悪びれずに言う。その言葉に美琴は表情を険しくした。
「私が家から出た?」
「そうだ。あの日、俺は第一秘書を連れて視察に出ていた。千夜子はオフィスで別の仕事をしていたが、どうしても必要なものがあり、家に取りに行く様頼んだんだ。離れではなく母屋への用だったしお前は不在だから問題ないと思った。だがお前が予定より早く帰って来て千夜子を責め立てたんだろう?」
「……観原千夜子がそう言ったの?」
低い声が出た。一希が不快そうな顔で頷く。