仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
一希が美琴の部屋をノックするのは初めてだ。
昨日の今日なので警戒しながら扉を開く。
扉の前には、スーツ姿の一希が険しい表情で佇んでいた。
「……おはようございます」
不穏な空気を感じながらも、顔を合わせたからには挨拶をする。
一希は無言で頷いた。
「今日は早く帰って来る」
「……そう、夕食は必要?」
美琴は内心動揺しながらも、それを隠して答える。
「……必要ない」
「分かりました」
以前は、栄養が取れているか心配になって、家で食事を取って欲しいと頼んでいた。
でも今となってはそんな気になれない。
要らないのならそれでいいと思ってしまう。
「昨夜話していた友人の件だが、写真を用意するから特定してくれ」
「……一希と観原千夜子が付き合っていると教えて来た人?」
「そうだ。このままにはしておけない。まずは美琴に近付いたのが誰だったのかを知りたい」
一希は、友人に対して怒りを覚えているようだった。
(でも、犯人捜しをするなんて、やり過ぎじゃない?)
濡れ衣を着せられた訳でもないのに、なぜ拘るのだろう。
(訳が分からない)
「犯人捜しなんて無駄じゃない? だって事実なんだから」
「まだそんなことを言ってるのか? 事実ではないから面白半分で下らない噂を流したのが誰かを確かめ、釘をさす必要があるんだ」
一希は、かなりイライラしているように見えた。もう出なくてはならない時間なのに、動く素振りはなく、強張った顔で美琴の返事を待っている。
そんな態度に不審感を覚えたけれど、ふと気がついた。
昨日の今日なので警戒しながら扉を開く。
扉の前には、スーツ姿の一希が険しい表情で佇んでいた。
「……おはようございます」
不穏な空気を感じながらも、顔を合わせたからには挨拶をする。
一希は無言で頷いた。
「今日は早く帰って来る」
「……そう、夕食は必要?」
美琴は内心動揺しながらも、それを隠して答える。
「……必要ない」
「分かりました」
以前は、栄養が取れているか心配になって、家で食事を取って欲しいと頼んでいた。
でも今となってはそんな気になれない。
要らないのならそれでいいと思ってしまう。
「昨夜話していた友人の件だが、写真を用意するから特定してくれ」
「……一希と観原千夜子が付き合っていると教えて来た人?」
「そうだ。このままにはしておけない。まずは美琴に近付いたのが誰だったのかを知りたい」
一希は、友人に対して怒りを覚えているようだった。
(でも、犯人捜しをするなんて、やり過ぎじゃない?)
濡れ衣を着せられた訳でもないのに、なぜ拘るのだろう。
(訳が分からない)
「犯人捜しなんて無駄じゃない? だって事実なんだから」
「まだそんなことを言ってるのか? 事実ではないから面白半分で下らない噂を流したのが誰かを確かめ、釘をさす必要があるんだ」
一希は、かなりイライラしているように見えた。もう出なくてはならない時間なのに、動く素振りはなく、強張った顔で美琴の返事を待っている。
そんな態度に不審感を覚えたけれど、ふと気がついた。