残念な王子とお節介な姫
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4月1日(月)

「第一本部システム部から異動してきました、
宮本海翔(みやもと かいと)です。
若輩者ですが、1日も早く、肩書きに見合う
仕事ができるよう、頑張りますので、どうか
よろしくお願いします。」

朝礼で挨拶をする。

綺麗に片付いた空き机が点在するどこか寂しい空気が漂うフロア。

俺の他に、係長が1人、主任が2人異動してきた。
他にも1ヶ月の出張扱いでSEが2人来ている。

しかし、それでも、全然足りないのが現状だ。

俺は、まず、俺の班の武村係長から現状の説明を受けた。

今月末納期の酒屋チェーン店のシステムが、設計担当者の退職により頓挫しているのが、緊急の案件らしい。

3月末で退職にはなっているが、3月10日以降、勝手に有休消化に入ったため、システムそのものが完成していない。

残された担当SEは、新人の姫崎奈々(ひめさき なな)のみで、全く仕事にならない。

他は、納期がもう少し先なので、残ったSEに任せて、俺は姫崎のフォローに入る事にした。
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