残念な王子とお節介な姫
うちが課長の胸でまどろんでたら、突然、

「ぅわっ!」

て声がして、課長の手がうちから離れた。

「ん? 課長?」

うちが課長の胸の辺りから見上げると、

「あ、いや、あの、これは…」

とうろたえる課長の顔があった。

ふふっ
課長、かわいい。

「課長、おはようございます。」

うちが挨拶すると、

「あ、ああ。
………おはよう。」

と困ったような顔で挨拶を返された。

「うち、昨日、ご迷惑掛けませんでした?」

「あ、ああ。大丈夫。」

「なら、よかった。
昨日は、泊めてくださって
ありがとうございました。」

「あ、いや、それは、別に…」

何もしてへんのに、こんなにうろたえるやなんて、課長、ほんまにいい人なんやな。

春山さんは、残念な奴て、ゆうてたけど、全然残念やないやん。
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