残念な王子とお節介な姫
結…

俺はスマホを見つめたまま、固まってしまった。

メッセージに続いて、絆の写真が送られて来た。

かわいい。

この子が俺の子…

全然、実感はないのに、胸がいっぱいになり、熱いものが込み上げてくる。

「姫、ごめん。
ちょっとはずす。」

俺は奈々に声を掛けて、空いていた会議室に逃げ込んだ。


感情の整理がつかない。

結とこの子、絆と3人で生きて行こうと思った。

だけど、今、俺たちは、違う相手を想い、違う人生を歩んでいこうとしている。

そんな俺たちの勝手で、この子を実の親から引き離すなんて…

絆、ごめん。

育ててやれなくて、ほんとにごめん。

でも、絆は、望まれて生まれてきたんだ。

結と別れる事になっても、例え、この子に会えなくても、子供が出来なければよかったとは、思えないんだ。

いつか、この子が大きくなったら、そう伝えてやろう。

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