残念な王子とお節介な姫
カチャカチャ…
トントントン…

物音がして目が覚めた。

「おはよう。」

結の声だ。

「おはよう。」

俺は寝ぼけたまま答えた。

「もうすぐ晩ご飯だから、先にシャワー浴びて
来たら?」

「うん。」

ああ、さっきの音は、料理の音か。

俺はキッチンに立つ結が懐かしくて、愛しくて、誘われるように結の元へ行った。

「結」

俺は、結を後ろから抱きしめて、頭にキスを落とした。

今まで、そんな事、した事ないのに…

俺は、指で結の顎をすくい上げて振り向かせると、触れるだけの軽いキスをして、

「風呂、行ってくる。」

と浴室へ向かった。


どれだけ抱いても、結が愛しくて仕方がない。

俺の人生に結は必要不可欠である事が、この1ヶ月で身にしみて分かった。
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