残念な王子とお節介な姫
結はカプレーゼを少し食べたところで、トイレに駆け込んだ。

悪阻?

大したことないって、言ってたのに…

妊娠するって、大変なんだな。



「結? 大丈夫?」

女子トイレの前で声を掛ける。

結は、
「大丈夫!」
と中から答えた。



「海翔、ごめん。先に帰る。
海翔は、ゆっくり食べて来て。」

結はそう言って、店を後にした。



結は、俺じゃなくて、他の奴を思ってる。

だけど、それでも、あんな辛い思いをしてまで、俺の子を産もうとしてくれてる。

俺の事を嫌いなわけじゃない。

今は、揺れてるかもしれないけど、きっとまた元の明るい結に戻ってくれるはず。

そしたら、一生、仲良く暮らそう。

俺が一生、結を守るから。

結とその子を幸せにするから。
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