愛のない部屋
隣りに座る峰岸に目を合わさず、窓の外を見る。
「旅館、楽しみだね」
「はい」
「女同士で温泉入ろう」
「楽しみです」
舞さんに話し掛けられ、
今は旅行なんだから楽しくやらなきゃ、と気持ちを切り替える。
「うわ~覗きに行こう」
タキならやりかねない。
「あ、部屋は沙奈と峰岸、一緒ね」
「え?」
―――ぇええっ?
「…俺もさっき聞いたんだ」
峰岸がぽつりと言う。
さっき怒鳴っていたのはこのことか。
相部屋ということよりも、
峰岸があんなに怒っていた理由が自分のことだったのだと、少しショックを受けた。
嫌われている。
改めて突きつけられた現実に気持ちが重くなった。
「でも同棲しているんだし、普段と同じだろ?」
「仲良しだね~」
「なんだかんだ言って、仲良いんだよ」
峰岸も私も、返事をしなかった。
私、野宿の方が気が楽かも。