愛のない部屋
「困る、って言っていました。アイツにはまだ何も話してないから、って」
「話し?」
いったい私にどんな話しがあると言うのだろう。
せっかく温泉に入っているのに、全然リラックスできなくなってきた。
「マリコさんの話ではないでしょうか?」
「それはないと思うけど」
部外者の私に話すことなんてないでしょう。
「修吾とタキさんの出会いを知っていますか?」
「いいえ」
「修吾は弁護士で、峰岸さんからの依頼を受けたみたいなんです。マリコさんのことで」
修吾、いやタキが弁護士?
ああ、この子は全てをタキに話してもらえる特別な子なんだ。
「詳しいことは分からないんですが、峰岸さんはマリコさんから訴えられていたそうです」
糸がこんがらがる。
峰岸とマリコさんを繋ぐものは赤い糸でないってこと?
なにそれ……。
「峰岸さんがその話をするまで、待っていてあげて下さい。私が言うのも変な話ですけど……」
「ありがとう」
マリコさんと峰岸の関係は、いったいなんだろう。ここまで聞かされてしまえば、気にならないという方がおかしい。