愛のない部屋
タキに対するその想いが真剣なものであることにホッとした。
「でもタキはありのままの舞さんを受け止めてくれると思うよ?」
買ったばかりの珈琲牛乳を一口飲むと、
温まった身体に染みた。
「怖いんです。修吾が離れていくことが」
「……」
そんなことないよ、タキはずっとアナタの傍にいる。
安心させる言葉を言うのは簡単だけれど、あえて控えておいた。
舞さんが自分で気付かなければ意味がない。
タキがありのままの舞さんを受け入れてくれる、器の広い人間だと彼女自身が信じなければ、幸せにはなれない。
「修吾は沙奈ちゃんのことが好きだと思っていました。疑っていたんです」
「私?」
「話に聞いていて、仲の良いことを妬んでいたんです」
最低ですね、
と自嘲気味に笑う舞さんが、愛しくなった。
彼女は本気でタキを愛している。
「私なんてタキの職業すら知らなかったよ?タキは傍にいてくれるけど、私にはタキ自身をくれない。タキが人生を共にしたい相手は舞さんでしょう?」
濡れた前髪の間から見える目は、大きくて二重。
可愛いのだからもっと自信をもって欲しい。