愛のない部屋
「舞さんは舞さんらしく、タキの傍にいれば幸せになれるよ」
偉そうなことを言ったけれど、これは峰岸の言葉だっけ。
――おまえは、おまえらしく。
私に峰岸は言ってくれた。
「ありがとうございます」
律儀に頭を下げた舞さんの背中を、少しでもおすことができたらいい。
舞さんのために、
峰岸のために、
私はなにができるのだろう?
中庭で涼んで行くという舞さんを残して、ひとり部屋に戻る。
「ねぇ、」
かけられた言葉に振り向けば、いかにもガラの悪い金髪の若者。
「ちょっと相手してよ」
「忙しいので」
ニタニタと気持ちの悪い男。チャラチャラとつけられた無数のアクセサリーにも抵抗を感じた。
「すぐだからさ?ちょっと布団の上で舞ってくれればねっ」
遠回しな言い方だが下品以外の何物でもない。気持ち悪い。
「無理です」
生理的に受け付けない。
「良いじゃん、良いじゃん」
おまけにしつこい。
うんざりしていたけれど、すぐにほっとした。
前方から峰岸が歩いてきたから――。