愛のない部屋
峰岸の姿を見ただけで安心できた。
「遠慮しなくて良いからね」
遂に、肩に手を置かれた。
それを払おうとした右手も男に掴まれて、痛々しいほど強く握られる。
でも大丈夫。
峰岸と目が合ったから…。
「おい、なにしてんだ」
ここで不機嫌な男の登場。
でも私にとってはヒーローなのかも。
「離せよ」
金髪野郎から私を引き離し、自分の後ろへ誘導した。
「次、こいつに触ったら。死ぬほど後悔させてやる」
金髪男はなにも言わなかった。
否、言えなかったのだ。
怒鳴りもせず、冷静に話しているだけなのに峰岸は負のオーラを放っていた。
殺気まで漂っている。いつも私に向ける不機嫌オーラの何倍も、強いそれ。
「とっとと、失せろ。馬鹿」
「……」
足早に立ち去る男を見送りながら、
不覚にも峰岸のことを
――カッコイイ、
そう思ってしまった。
「ぼうっとしてるからだ」
濡れた髪を片手でかきあげる姿はどこかセクシーで、惑わされそうになる。
峰岸のことをカッコイイなんて、目の錯覚。
あ、温泉入ったばかりだから、まだ頭がもやもやしているんだ。