愛のない部屋

1回戦、勝敗はあっという間に着き、負けたのは言い出した本人だった。



「で、俺のなにが聞きたいの?」



初恋の年齢なんて、舞さんの前で尋ねていいものかと悩む。昔のことは水に流さなきゃやっていけないけど、良い気持ちはしないよね。



「修吾が今まで何人と…付き合ったのか、知りたい」



少し酔っているのか、舞さんは潤んだ瞳で尋ねた。何人と付き合ったかなんて、聞いてどうするのだろう。



「……悪いが、数え切れない」



どうしてタキも素直に答えてしまうのか。


過去に嫉妬しても今更、遅いのに。



「やっぱ大勢なんだ」



動揺もせず、へらへらと笑う舞さんを見て胸が痛くなった。



「でも本気で愛したのは、舞だけだから」


「分かってるよ」



理解できない。

本気で愛した女性は、舞さんだけだと言うなら。


他は全て、遊び。


遊びの恋を、タキもしていた。



その事実に舞さん以上に、傷ついたのは私かもしれない。




――遊びの、恋。


タキも、アノ人と同じことをしたのか。


私を侮辱したあの最低な奴と、同じことを。

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