愛のない部屋
「おい、」
低い峰岸の声で、既に2回戦が開始されていたことを知る。
「ごめん」
慌てて配られたカードを手に取ると、その中にババが存在していた。
ババのカードには、意地悪そうな悪魔が書かれている。可愛げなどなく、ただただ薄気味悪い笑みを浮かべていた。
「私、やめる」
「……沙奈?」
手持ちのカードを置いて、席を立つ。
あの悪魔に躍らされて負ければ、秘密を告白するなんて馬鹿げてる。
「もう眠いから寝る」
「沙奈?具合悪いのか?」
私のただの気まぐれを、タキは心配してくれた。
舞さんも風邪薬をくれようとする。
「眠いだけだから、本当に大丈夫。おやすみ」
さっさと部屋を出た。
どっと疲れた気がした。
自分たちの部屋に戻れば、並べられた布団が目に入る。
「……」
無意識に右側の布団を壁際に寄せ、距離をとる。
恋人同士でもあるまいし、こんな近くに引かれても困るよ。
峰岸は今夜、本当に私の隣りで眠るのだろうか。