愛のない部屋
寝たフリを続行中していて、ふと思う。
今、何時?
峰岸が部屋に入ってきて何分経過したなんて分からないけれど、いっこうに寝る気配はなかった。
もしかして私に遠慮して、椅子で眠る気?
「…まだ寝ないの?」
痺れを切らせて聞いてみた。
「起こしたか?」
「ううん、ずっと起きてた」
結局、白状するならば最初から峰岸に声を掛けても良かったな。
起き上がり、暗闇で目を凝らす。
明かりも点けずに、なにを考えているのだろう。
「なんで寝ないの?」
「……」
「そんなに私の隣で寝たくないわけ?」
手を伸ばして近くにあったスタンドライトを点ける。
眩しさを我慢して峰岸を見ると、苦笑していた。
「その逆だよ」
「え?」
「隣りで寝たら、今日こそは暴走しそう」
「はぁ?」
私は間抜けな声を発した。
いきなり何を言い出すの?
「沙奈、」
これで名前を呼ばれたのは、2度目だ。
返事をしないでいると、峰岸は椅子から立ち上がった。
そして床が擦れる音がリアルに響き、峰岸が私の隣りに座った。