愛のない部屋
しばらく峰岸は何も言わなかった。
せっかく新たな恋をすると決意した峰岸を、
応援することができないなんて、おかしい。
でもね。
頑張って、なんて簡単に言えないよ。
峰岸の傷付く姿なんて、見たくないから。
「もう寝たの?」
寝返りをうち、峰岸の方を向く。
反応がないので上半身を起こして顔を覗き込んだ。
こんどはアンタが寝たふり?
「きゃっ」
突然、腕を掴まれて。
傾いた身体を
抱き止められた。
「放してよ」
「もう恋は二度しない。一生、ひとりで生きていく。それが3年前の俺の決意」
ジタバタ騒いでも、強い力でがっちりと押さえ込まれる。
強い強い、男の力。
でも金髪男の時のようにちっとも怖くないし、全く不快じゃない。
「でも俺は滝沢さんの罠にまんまと、嵌(は)められた」
あまりにも真剣に話すので、抵抗することを止めた。
至近距離で峰岸を見つめる。
「おまえを好きになった」
毒を吐かれた。
私の神経を麻痺させる、甘い言葉。
心のどこかでその言葉を求めていたと、
自覚した時、
警告音は聞こえなくなった。
「峰岸……」
ぎゅっと、彼の背中に手を回す。
大胆な行動は、きっと毒のせい。