愛のない部屋
男女がひとつ屋根の下。
世間一般に考えれば幸せな状況にも見えるが、私たちは違う。
好きでもない相手と一緒に暮らし、
どうでもいい相手と毎日顔を合わせる。
すごく、すごく、
おかしな関係なのだ。
アイツに空気のように扱われる私は、もう笑うしかない。
ひとりでテレビを見ても面白くもなんともないのに、お笑いにチャンネルを合わせる。
あの芸人さんたちは、とても楽しそうで。
寂しいのは、
悲しいのは、
私だけなんだと、
ーー何故かホッとした。
「おい」
前触れもなく背後で冷たい声が響き、
思わず身体がびくりと震えた。