愛のない部屋
恋敵、現れる
――――――!!!!!!
「夢かっ……」
寝苦しい夜、やっと寝付けたと思ったのに。
事故を再現した夢を見てしまった。
再現と言っても峰岸が助けてくれない最悪なパターンの夢。私もあの男の子も、助からなかった悪夢。
「峰岸……」
ぎゅっ、と枕元のぬいぐるみを抱き締めた。
「もう寝てるよね」
時計の針は深夜1時を示していていくらなんでも連絡をするには迷惑な時間。
それでも誰かの声が聞きたくて、携帯を掴んだ。
押し慣れたタキの電話番号を打ってから、すぐに消す。
タキは舞さんと結婚するんだ。
いつまでも私が甘えていい相手じゃない。
結局、私はまたひとりに戻ってしまったということなのか。真夜中に電話を掛けても良い友人がいないことを、初めて寂しいと思った。
こんな孤独な夜、やっぱり傍にいて欲しいのは峰岸。
峰岸に会いたい。
昼間顔を合わせたばかりなのに、会いたくて会いたくて。
心が悲鳴を上げている。