愛のない部屋
しばらくベッドに入っていたが眠れずにミネラルウォーターを取り出し、外に出られる格好に着替えた。
コンビニに行こう。
"いらっしゃいませ"
その毎日何度も繰り返される言葉を聞きたいと思うのは、私くらいだろう。
ミネラルウォーターを飲みながら、コンビニへ向かう。
人通りのない夜道を歩く。
徒歩3分の道のり。
「なんつーか、お姉さん。こんな時間に出歩いてるなんて、危ないよ」
コンビニの明かりが見えて来たと安心した途端、声を掛けられた。
「……」
振り返れば篠崎が車から顔を覗かせていた。
こんな時間でも彼の眩しい笑顔は健在だ。
「どうして?」
「とりあえず乗ってよ」
車の後部座席を指さす。
そういえば何故か篠崎は助手席に座っている。
「こんな時間に、危ないよね?」
遠慮がちに車に乗り込めば、欠伸をした篠崎と目が合った。
「俺はコイツに呼び出されて、仕方なく夜遊びしてたんだよね」
「コイツ……」
運転席を見て、私は息をのんだ。