愛のない部屋

分かるよ。

峰岸の言っていることが正しいことも、私が間違っていることも。

マリコさんと会わないことが、最善の道。私たちの幸せにはマリコさんはいらない。


それでも。

「峰岸が……！アンタがかつて愛した女性だから、話せば分かって貰えると私は期待してるんだよ」


峰岸の元カノだから信じてみたいなんて、少し残酷かもしれない。


「……」


顔を歪めた峰岸に笑い掛ける。



「騙された過去を持ちながら、峰岸はまたマリコさんを助けたいと思ったんでしょ？それは何で？人の家の離婚だとか親権だとか、アンタには関係ないことのはず」


なんでなんで。

そんな言葉で問い詰めればつめる程、峰岸が苦い顔をする。

申し訳なさでいっぱいになるけれど、マリコさんと会う許可を貰うために私も必死だった。


「それは俺の中にまだマリコへの気持ちが残っていると、疑ってるのか？俺の言葉だけじゃ信じられないから、直接マリコに会いに行くのかよ？」



どうしてそういう方向に行ってしまうのだろう。
私たちはいつだって、上手く冷静に話し合えない。