愛のない部屋

荷造りを終えた午後10時。


峰岸はまだ帰って来ない。

あれから1時間は経っていないものの、コンビニまではそう遠くないのに。

不安になるなんて女々しいことだけど、隣りに峰岸がいないと駄目みたいだ。






ダンボールをそのままにして、外に出る。


肌寒いが、上着を取りに戻ろうという考えには至らず、峰岸の姿を探した。


「峰岸……、」



コンビニに行っても、峰岸はいない。耳障りなBGMだけが頭に響く。

聞きたいのは峰岸の声なのに。


他に立ち寄る場所はあるかと頭の中で思い浮かべれば、


「沙奈ちゃん」



そこに篠崎が立っていた。



「篠崎さん……?」



意外な人物の姿に驚く。



「峰岸にお呼ばれしちゃいました。タクシー乗って来たんだけど、沙奈ちゃんが見えたから降りて来ちゃった」



いつもと変わらず明るい篠崎に、ほっとした。



「峰岸は?」


「アイツ、マリコを呼びに行ったよ?」


「ぇええ?」



私は悲鳴のような声を上げた。

< 338 / 430 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop