愛のない部屋

社外人としてもうひとりでやっていけるから。
そんなに心配されることもないんだけどな。


「手を出さないから心配すんな」


真面目な顔で告げられた。
その心配ですか?


「もしかしたらという可能性もあるんじゃない?」


迷っているのはソコではないけれど軽く聞いてみる。


「身体から始まる関係が迎えるものは破滅だけだと身を持って知ってるから二度と同じことは繰り返さないよ」


前科があるようです。
深くは聞くまい。


「私は対等でいたい」


「は?」


「アンタの家に住ませて貰うから、ってさ…下に出たくないわけ。顔色を伺うことも機嫌をとることも私にはできない」


「それじゃぁ俺はどうしたら良いの?」


「毎月、家賃も光熱費も半分払う。家事も分担する。それがアンタの家に私がいられる最低限の条件」


あれ?
私、何言ってるんだろう。
一緒に住むことを認めているようなーー



「真面目な女」


クスリ、と笑った峰岸は親指と人差し指でOKサインをつくった。

えええ?

待って。本当に良いのかな?


峰岸とタキの思うツボになってしまったかもしれないが、最終的には私が決めるのだ。



「噂になっている私と暮らしても平気なの?」


「うん。もし嗅ぎ付けられたらおまえと付き合っていることにするから良い」


「はっ?」

なにを言い出すのでしょう。
もう頭がついていかない…。

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