愛のない部屋
パソコンの電源を入れて書類の山に目を向ける。
篠崎の無駄話に付き合っていなければ、少しは仕事も進んでいただろうに。
ホント、迷惑。
峰岸と一緒に暮らすことに抵抗を感じず、あの不覚にも胸を借りてしまった夜から
――4ヶ月が経った。
あれ以来、峰岸は私に触れてこないし、必要以上の干渉もしない。
私が峰岸と馴れ合うことを拒絶していることを感じ取ったのかもしれない。
あの優しさに溺れてしまえは後戻りはできなさそうだ。
求めた言葉を囁き、
偽物の愛を与えてくれた
アノヒトと、
峰岸が同じなんて思えないけど、
人を信じることは
もう、できない。
身の焼けるような恋をし、
そして落胆したアノ日から、
心の傷は癒えていない。
時間は、止まったまま。
もし峰岸が私と同じように傷つき、奈落の底に落ちたのだとしたら
いずれ私たちは、惹かれ合うかもしれない。
同じ痛みや過去を背負った、自分に"似た"相手に
心を奪われることは、自然な流れだとも言える。
だから私は、
――峰岸が怖い。