貴方の背中
冷蔵庫に違和感を感じて開けてみる
「冷たくない…」
中身は空っぽで綺麗に掃除されていた
コンセントは抜かれて水を吸うために新聞が置かれていた
どういうこと?
「桃子さん?ヘルパーさんって何時から来てる人なの?」
私の様子に少しおびえていた桃子婆ちゃんもヘルパーさんの話しになったので
ホッとした顔をする
「咲音理ちゃんを見なくなってしばらくしてからかねぇ」
私が忙しくなってからってここ最近じゃない…
背中に冷たい汗が流れる
もしかして…
「桃子さん通帳は?」
「えっ?何が?」
「通帳だよ」
「あぁあぁそこそこ」
箪笥のひきだしにあった通帳
お金は出されてはなかった
でも
判子がない…
「判子は?」
「あぁ判子ね伊藤さんがね、判子って追い掛けて来たからね、咲音理ちゃんの部屋のポストに入れちゃったの」
「えっ?いつ…」
「昨日そしたらね。伊藤さんが怒って何回もチャイム鳴らしてねぇ、咲音理ちゃんはいないのに(笑)」
クスクス笑う桃子婆ちゃん
♪~
携帯の着信にビクッとなる
「けんちゃん…助けて」
私はすがる思いで電話に出た