Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
私が唇を尖らせてむくれると、春熙は苦笑いを浮かべた。

「そんなに楽しかったのなら今度、うちでも飲み会を企画しようかな。
それで愛乃を招待してあげる」

「あー、……うん。
ありがとう」

とりあえず笑って返事をしておいた。
春熙の部下と一緒に飲み会なんて、絶対に楽しくない。
あそこの人たちにとって私は上司の大事な婚約者で、絶対に粗相があってはならない人だから。

「高鷹部長には感謝しなきゃ。
今日も、早くこうすればよかったんだって謝ってくれたんだよ」

「そう」

「あ、高鷹部長、橋川くんに私を泣かせてるーとか、口説いてるーとか突っ込まれて、慌ててたんだよ?
高鷹部長でも慌てることがあるんだってびっくりしちゃった」

「愛乃」

ぴしゃっと拒絶する声を出され、びくっと背中が反応する。
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