Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
うんうんとしたり顔で橋川くんは頷いていますが……いいの?
高鷹部長、タッチペンをへし折りかねない勢いでぶるぶる震えているけど。

「……どーして俺が、やらないといけない?」

ワントーン低い声が、机の上を這っていく。
けれど橋川くんは全く気づいていない。

「高鷹部長がやれば、絶対女子人気が出ますって!
それに昔、モデル経験があるんでしょう?
ぴったりですって!」

彼の言うとおり、高鷹部長だったら絶対に女子は喜ぶ。
そこはわかるけど、モデル経験って?

「はーしーかーわー」

「ひぃっ」

お腹の底に響くような声で橋川くんはようやく、高鷹部長のご機嫌が斜めなのに気づいたようだ。

「モデル時代の話はするなと、何度言ったら学習するんだー?」

「ひぃっ」
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