Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
私に視線を合わせるように中腰になり、高鷹部長が心配そうに顔をのぞき込んでくる。

「その、……嬉しくて」

私がなにかやって、こんなふうに認めてもらえたことなんてなかった。
成果を褒めてほらえるって、こんなに嬉しいんだ。

躊躇いがちに伸びてきた手が、私のあたまに触れる。
その手はこわごわと、私の髪を撫でた。

「よかったな」

「……はい」

レンズ越しに目があって、高鷹部長の目が眩しそうに細められる。

――その顔に。
心臓がきゅーっと切なくなった。

「あー、でも、愛乃にひとつ、謝っておかないといけないことがあってな」

ぽりぽりと頬を掻きながら、高鷹部長は宙を見た。
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