Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
受話器を置いた高鷹部長とレンズ越しに目があった。
目を細めて嬉しそうに笑い、私のあたまをがしがし撫でてくる。

「参加していいそうだ」

「……セクハラです」

唇を尖らせ、心にもないことを言う。

――本当は嬉しい癖に。

「ああ、すまない」

すぐに高鷹部長は手を引っ込めてしまった。
自分で嫌だといったのに、それが酷く淋しかった。


その日の帰り、春熙は当然、ご機嫌斜めだった。

「ほんとに愛乃、海水浴になんて行きたいの?
日本の海だよ?
汚いよ」

いつも海外のプライベートビーチでしか海水浴に連れていってもらっていない身としましては、日本の、普通のビーチなんて全く想像もできないですが……。
汚い、というのはあまりに酷くないでしょうか。
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