Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
「や、はるくん、やめて……」

ぶるぶると捨てられた子猫みたいに震えて懇願しても、春熙は手を離してくれない。

「愛乃は僕だけのものだ。
絶対に誰にも渡さない」

口を塞ぐように春熙の唇が重なる。
呼吸さえ許さない口づけはひたすら苦しくて、開いたままの目からは涙がぼろぼろとこぼれ落ち続けた。

「愛乃……」

耳もとで名を呼ばれ、悪寒が全身を駆け抜ける。

「……いや。
はるくん、ゆるしてぇ」

ひっく、小さく私がしゃくり上げると、春熙の動きがぴたりと止まった。

「ごめん、な、さい。
もう、しない、からぁ。
はるくん、ゆるしてぇ」

「愛乃?」
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