Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
「とうとう愛乃も花嫁か。
結婚してもいつでも帰ってきなさい」

「はい、ときどき帰らせますよ」

春熙は笑っているけれど、それは本当なのだろうか。
熱いコーヒーを飲んでいるはずなのに、身体が芯から冷えていく。

「それに君たちが結婚する頃には私も悠々自適の隠居生活に入っているはずだし……」

「お父様?」

父が近々、引退するなどという話は聞いたことがない。
会社でも父自身からも。

「……お義父さん」

少しだけ、春熙が厳しい声を出した。

「ああそうだ、新婚旅行はどうする?
ヨーロッパなんてどうだ?」

まるでなにも言ってないかのように父が話題を変えてくる。

「そうですね、愛乃が行きたいところだったらどこだっていいですよ。
ね、愛乃?」
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