Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
あたまを下げて見える床には、ぽつぽつと水滴が落ちてきている。

「愛乃ちゃん、頑張って!」

橋川くんの励ましを受け、涙を拭って顔を上げる。

「泣いたりして、みっともないですね。
ありがとうございました!」

勢いよくあたまを下げると同時に、拍手が起こる。

ああ、もう、辞めたくないな。
仕事、楽しくなってきてたのに。
NyanTubeデビューだってちょっと楽しみにしていたんだけどな。

みんな、私に優しくしてくれて。
仲間だって言ってくれた。

辞めたくない、辞めたくないよ……。

「愛乃?」

いつまでたってもあたまを上げない私へ、高鷹部長が怪訝そうに声をかけた。

「どうした?」
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