Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
肩を掴まれ、顔をのぞき込まれる。
こんなにぐちゃぐちゃな顔、見られたくないのに。

「……つらいよな」

みんなの前だというのに、高鷹部長は私の顔をその胸に押しつけた。

「我慢、しなくていい」

「……たくない」

安心できる匂いに包まれて、必死に我慢していた声が漏れる。

「辞めたくない。
もっとここで、仕事したい……」

「……うん」

人前だというのに、声も堪えずにわんわん泣いた。
誰もなにも言わない。
ただ、私の泣き声だけが響く。

「落ち着いたか?」

「その、すみませんでした」

高鷹部長がハンカチを渡してくれるので、それで涙を拭う。
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