Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
「最初に作った社屋の、裏口らしい。
取り壊さずに増改築を繰り返しているからな、ここ。
それで残っている」

苦労して高鷹部長が扉を開ける。
急に薄暗いところから明るいところに出たせいか、……自由に解放された気がした。

「まあ鍵がなくても開くから、セキュリティなんてないも等しいがな。
だから社屋のリニューアル計画を出しているのに、香芝専務が承知しないから……あ、すまん」

「いえ、いいんです」

普段の、高鷹部長の苦労が忍ばれる。

さらに、破れたフェンスの隙間から会社を脱出した。

「ここ、俺が入社したときから破れたままなんだが、いまだに修理されないんだよな。
だから上層部は……すまん」

「いえ」

再びはじまった高鷹部長の愚痴に笑うしかできない。

父たちのずさんな会社経営。
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