Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
「ん?」

不思議そうに彼の首が少し傾く。
それすらも酷く切なくなった。
ああ、私はこんなにもこの人が好きなんだなって。

「はじめはどうなることかと心配したが、いまは君を手放すのが惜しい。
普通に寿退社するのなら、残留や落ち着いたら復帰を説得するところだが、事情が事情だからな、仕方ない」

「……ありがとう、ございます」

仕事の面で高鷹部長がこんなに私を、高評価してくれているなんて知らなかった。
それだけでも嬉しくて、涙が出てきそうになる。

――でも。

「結婚しても、君の幸せを祈っている」

ガン!とバットで後頭部を殴られでもしたかのように、目の前が真っ暗になった。

なんであなたが、そんなことを言うんですか。
あの日、私にしたあの口づけはいったい、なんだったんですか。
絶対に守ると、諦めるなと言ってくれたあの言葉は。
< 249 / 340 >

この作品をシェア

pagetop